Arabicabeans’s diary

認知症の母とMCIの父の介護記録

泥棒にお茶?

母が認知症の診断を受けてから、早7年になる。アリセプトレミニールなど、いくつか認知症の薬を試してみたが、吐き気などの副作用があり使えなかったので、7年間おもに漢方だけでここまできた。

 

今は、10分前に誰が来たかも覚えていることはできないが、まだ母が認知症の診断をされてから、初期の頃は、何とか前日に起こったことをぼんやりと部分的に頭の中で再生することができた。

 

ある時、母に電話したら、母が家にいるときに泥棒が入ってきたという。高齢者を狙った強盗犯かと思ってゾッとしたが、お茶だけ飲んで帰っていった。というのである。

 

母は「なんて、図々しい人かしら。台所まで入り込んできて、お茶だけ飲んで、さっさと帰ったのよ。」と文句を言っている。

 

しかし、なぜ泥棒にお茶を出したのかというのも気になったが、その当時はまだ認知症という病気が理解できていなかったので、母の言うことを信じこんで、高齢者宅を狙い、何者かが様子を見に入って来たのか?と思い、びっくりして、とりあえず防犯用のブザーやら防犯カメラ監視中の安物のステッカーなど玄関先に貼りつけたりした。

 

しかし、その後、母が泥棒だと思った人物像が浮かんできた。その事件の数日後、ケアマネさんから、電話があった。バリアフリー工事料金を申請すれば一部負担してくれるというので、ケアマネさんにお願いしていたのだが、その工事の請求書を数日前に母親宅においてきたとのことだった。

 

うん?もしかして、台所に入られましたか?「はい、台所の奥にかかっているカレンダーに次の訪問日を記入してきました。」という。

 

母のケアマネさんは、男性である。もしや、母の言う泥棒とは?

 

ケアマネは女性の仕事であるというような偏見は、持ってはいないが、母は少し警戒心が強いので、慣れない男の人が家に上がってきたというだけで不安に思ったのかもしれない。しかも、台所という自分のテリトリーに勝手に入ってくるということだけで、侵入者なのだ。

 

ケアマネさんを泥棒と間違えて、大騒ぎしていたなんて。予想外の結末に驚いた。このことは、もちろんケアマネさんには、伝えなかった。私が、ケアマネさんだったら、ショックが大きいだろう思った。

 

おそらく、ケアマネさんが訪問したときは、普通に母に用件を伝えてから家に上がり、母もその時は家に招き入れ、お茶を出したのだろうと考えられる。が、見慣れない男性が台所まで入ってきたという不安感という感情だけが母の記憶の中に残り、それが泥棒というイメージで記憶されてしまったのだ。

 

泥棒か不審者が高齢者宅を偵察に来たのではないかと思って、今度は本格的に狙われたらどうしようと不安に思っていたが、だいたいの見当がつき、少し安心した。と同時に、記憶がなくなることでこのような珍事が起こるものかと改めて、認知症という病気に纏わる問題と母への今後の対応を考えさせられた。