母は、もう電話をかけるのも、電話に出るのも、難しくなってきた。昔は大した用でもないのによくかけてきたが、最近は母からかけてくることは全くといってない。
しかし、緊急時には残された能力を発揮して私に電話をかけてくる。
私が固定電話の前に大きく、貼っておいた電話番号を見ながら、何とか電話をかけてきた。
「大変なの。お父さんが、返事をしないのよ。ちょっと、見に来てくれないかしら?」と、慌てて言う。
「ちょっとって、言ったって、そこまで行くのに3時間かかるんだけど。」と、近くに住んでいると信じ込んでる母に、言っても無駄なことを言ってしまった。
父は普段は90歳にしては、元気だが不整脈のせいで、たまに意識障害を起こす。また、同様なことが起きたのかと思い、すぐに、救急車を遠隔で呼んでもらった。
しばらくすると、救急隊の方から電話が来て、特に問題ないとのことだった。「本当にお忙しいのにご迷惑おかけしました。」と、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
父は父で、耳がえらく遠いので、電話で何があったのか、確認をとることも難しい。が、おそらく、父は認知症の母が、同じ質問を100回ぐらい繰り返すので、何も答えず、よく目をつぶって、寝たふり、または、死んだふり?をして、母を無視することがよくある。
何か対策を立てないと、また母の「大変よ。」に巻き込まれてしまったら、救急隊の人も、私もたまったものではない。
父の様子が見えれば、慌てることもないので、リビングにカメラをつけることにした。
最近、流行りのペットカメラである。